国内における製造・工場業界の動向
経済産業省が2018年3月に公開した資料によると、GDPは全産業の2割程度を占めています。
就労人口も同じように全産業の2割弱の割合となっていることから、現在も日本の基幹産業の1つとなっていることが分かります。
企業全体の業績は2016年に落ち込みましたが、2017年は前年と比較すると改善傾向にあります。経済が復調し徐々に力を取り戻しつつあるのですが、一方で人材不足が深刻な課題になってきました。人材不足と直接的な因果関係ははっきりしていないものの、日本を代表するような大企業において検査不正が相次いで発覚し、「現場力の低下」というようなメディア報道もありました。景気自体は回復傾向にありますが、今後の業績に結び付けるためにも解決すべき課題点も少なくない現状です。
人材不足という課題
現在大きな課題となっているのは「人材不足」です。
昨今のように経済が回復傾向の状況になったとしても、ものづくりに携わる人材が不足している状態では経済成長を支えることが出来ません。現場レベルで人材育成を行い1人ひとりの生産性を上げるという対策はもちろん大事ですが、経営レベルで生産性を上げるという視点も非常に重要です。
そこで必要となってくるのが「スマート工場」への取り組みです。
スマート工場とは、工場内のオートメーション化を高度なレベルで進めた上で、さらにIoT技術を活用して工場内設備・システム・センサーなどをインターネットで接続し、総合的に管理することで、生産性向上につなげるという考え方です。「第4次産業革命」の中の取り組みの1つであり、世界的にはアメリカやドイツなどでもすでに同様の取り組みが行われています。
ただし、スマート工場を推進するにあたって現場レベルでの人材不足が解消されたとしても別の人材不足というハードルが出てきます。現場でのデジタル化が推進されるということはデジタルに強い人材やスキルを持った採用や育成が急務となってきます。
しかし、経済産業省が発表した資料では、十分なデジタル人材を確保できていないと考えている企業が8割弱を占めていると記載されているため、経営層だけではなく製造・工場業界全体として対策を行うべき課題であると考えられます。
産業用ロボット市場
これまでの産業用ロボットは、自動車や電気機械といった大型機械の製造工場で主に活用されてきました。一方で、初期コストの高さやロボットに付随する周辺システムの構築のために広い工場が必要など、導入するためのハードルが高く、資金力のある企業でしか導入できませんでした。
しかし、日本国において最先端の研究や開発が功を奏して現在は小型化や低価格化が進んだことや、人と一緒に作業ができる「協働ロボット」が普及したことで、中小企業でも産業用ロボットを導入できるようになりました。
広い工場を持たなくても導入ができ、かつ低コストにて導入できるため産業用ロボットによる自動化が進んでいなかった事業の領域への普及が進み始めています。現場レベルでの人材不足を解消する「スマート工場」を構築するためにも産業用ロボットの導入は欠かせない存在です。
RE100を活用した事業展開
製造・工場業界における近々の課題点は人材不足であると述べてきました。
現場レベルでの人材不足については産業用ロボットの普及によりある程度は解消される見込みです。しかし、産業用ロボットが普及した際にはデジタル人材が不足となり、結局は人材不足の解消とはなりません。
企業として最先端の事業展開、産業用ロボットの導入などを考える以上、世界的にも注目される企業でなくてはなりません。そういった企業には自然と優秀な人材が目を向けてくれるものです。つまり世界企業に取引企業として位置付けをしてもらわなければ何も始まらないということです。
過去には日本企業は最先端の研究・開発により世界企業から選ばれる存在でした。しかし、現在はどうでしょうか。中国や米国などの企業では次々に最先端の商品が販売され、日本はそういった商品を遅れて展開するといった流れになっています。つまり、すでに日本企業は世界から選ばれる立ち位置ではなくなってきているということです。
したがって、今までと同じことを行っていては意味がありません。世界企業から取引したい企業だと認識してもらう必要性があります。そこでキーワードとして出てくるのが「RE100」です。
RE100加盟企業は、加盟企業以外の取引先としてRE100の取り組みを行っているかどうかを重要視するようになってきています。つまり、RE100の取り組みを行わない企業は取引先として選ばれなくなってきているのです。世界企業と取引が行えなくなれば最先端の設備導入や事業展開も周りから遅れをとってしまいます。
RE100に取り組むことで全てが解決するわけではありませんが、今後の事業展開を考えていった場合にRE100の取り組みは各企業にとって欠かせない存在になることは間違いありません。また、その取り組みが今後の事業業績に絡んでくることも間違いありません。