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飯田哲也「RE100への途」

再エネ100%へ最先端を走る南オーストラリア

2024.09.30

南オーストラリア州は、現在、太陽光発電と風力発電で電力の74%を供給しており、自然変動電源(VRE)の導入比率では、デンマークと並んで世界最高水準にある。同州は、今年、2030年から3年前倒しして、2027年までに太陽光発電と風力発電で100%を達成することを公式目標としした。南オーストラリア州は石炭や天然ガスの資源が豊富にあり、2006年までの電力供給は石炭と天然ガスが全てを占めていたことを考えれば、同州がこうして成し遂げてきたエネルギー転換は脅威的だ。


(資料)南オーストラリア州政府より

きっかけは、オーストラリア連邦政府が2001年に再エネ導入目標義務を導入したことだ。それに加えて、当時のマイク・ラン州首相(労働党)のイニシアチブで連邦政府よりも高い再エネ導入目標値を掲げ、風力発電のための土地利用計画の整備など再エネ普及を推し進めた。その政策とこの地域の豊富な風力資源も手伝って、2006年頃から風力発電が本格的な普及を開始した。今や風力発電が電力供給の49%を占めており、オーストラリアの他州と比べてもダントツに高い比率だ。


(資料)南オーストラリア州政府より

その後、同州はオーストラリアで最も早い2008年に、家庭用の太陽光発電に対してかなり優遇した固定価格買取制度(FIT)と初期投資への補助も導入した。太陽光発電の導入コストが低下したことと相まって、急速に広がってきた。今や44%の住宅に太陽光発電が設置されている。そのお陰で、昨年2023年12月31日には、同州の日中の電力がすべて住宅用太陽光発電からの余剰電力で賄われるという「事件」が生じた。

 


(資料)南オーストラリア州政府より

この間、気候変動に関して京都議定書やパリ協定にも調印したこともあって、導入は2016年春に最後の石炭火力発電所を廃止した。暴風雨が襲い他州との連系送電線が破損したために全州停電を引き起こしたのは、同じ年の9月であった。これに対して同州は、石炭火力を復活させるのではなく、停電対策の一環として、世界初の系統用大型蓄電池HPRを導入したのだ。それが見事にその後は今日まで停電リスクを何度も回避している。

 

(資料)NEOEN社報告より

このように、南オーストラリア州では、石炭と天然ガス、さらにはウランという豊富なエネルギー資源に恵まれながら、これを廃止して自然エネルギー100%への途のりを歩んできた。100%どころか、電気自動車や暖房・給湯、そして自然エネルギー由来のグリーン水素なども目指して、「自然エネルギー300%」以上を目指している。

 

(資料)南オーストラリア配電会社(SAPN)より

ところが日本はどうか。国内に利用できる石炭資源を持たないのに石炭火力に固執する。ウラン資源を持たず、世界史上、最悪規模の東京電力福島第一原発事故を引き起こしながら原発に固執する。北海道でも全道停電を引き起こしながら、実質的に改善策は図られない。日本に欠けているのは、未来志向の政治的な意思である。

 


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