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飯田哲也「RE100への途」

RE100を目指す環境省脱炭素先行地域(その4) 第2回目の公表結果を分析する

2022.10.31

そうこうしているうちに、環境省脱炭素先行地域の第2回目として20カ所が選定された(注1[1])。今回は50件の応募があり、20件が採択された。これで総計100件に対して、計46件が採択されたことになる。

一瞥して驚くのは、第1回目に採択された計画よりも、いろいろな意味でレベルが一気に高くなっていることだ。 平均的な事業規模も、太陽光で10MW以上と一気に大きくなった。第1回目は「範囲の広がり・事業 の大きさ」、「関係者と連携した実施体制」、「先進性・モデル性」を掲げたものの、現実には「絵に描いた餅」のような計画も少なくなく、多くの地域が採択されて半年も経つのに、未だに事業体制の整備や計画の具体化など、議論に終始しているところが多いと聞く。

採択する側の環境省も、第1回目の反省に立ち、第2回目の採択にあたっては、計画実現可能性に大きな力点を置いたことを物語っている。総評でも「先行地域の対象とする需要家の数・規模、提案の具体性、住民・需要家・系統側 等との合意形成がより意識され、かつ、それらの程度・熟度が全体的に向上した」と述べているとおりだ。

とりわけ重視されているのは、2点である。事業を担う事業主体の確実性、及び、今回必須の要件である再エネ電力に関して系統連系の確保または自営線などを活用したマイクログリッドなど確実に事業を行えるかの担保を重視していることだ。事業主体に関しては、金融機関の参画は、ほぼ必須と言って良いほど重視されている。再エネ電力関連では、20件のうち6件で旧一電が共同事業者として参画しているほか、ガス会社やNTTなどユーティリティ企業の参画が目立つ。

今後、来年2月に予定される第3回、来年8月に予定される第4回と、ますます競争が激化すると予想されるが、「範囲の広がり・事業 の大きさ」、「関係者と連携した実施体制」、「先進性・モデル性」を、どこまで具体的な実効性に落とせるかがカギを握っていることは確かだろう。

 

[1] 環境省「脱炭素先行地域選定結果(第2回)について」2022年11月1日https://www.env.go.jp/press/press_00776.html

 



飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ

 

 

 

 

 


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