去る9月に欧州委員会が公表した「ヨーロッパの競争力の未来」、通称「ドラギ報告」が話題を呼んでいる※1。元欧州中央銀行総裁兼イタリア首相のマリオ・ドラギ氏が主筆を務めた報告書で、公表のずっと前から注目を集めていた。米国と中国、欧州という世界3極から眺めているドラギ報告のなかでも日本は完全に埋没しているが、欧州よりもさら...
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去る9月に欧州委員会が公表した「ヨーロッパの競争力の未来」、通称「ドラギ報告」が話題を呼んでいる※1。元欧州中央銀行総裁兼イタリア首相のマリオ・ドラギ氏が主筆を務めた報告書で、公表のずっと前から注目を集めていた。米国と中国、欧州という世界3極から眺めているドラギ報告のなかでも日本は完全に埋没しているが、欧州よりもさら...
南オーストラリア州は、現在、太陽光発電と風力発電で電力の74%を供給しており、自然変動電源(VRE)の導入比率では、デンマークと並んで世界最高水準にある。同州は、今年、2030年から3年前倒しして、2027年までに太陽光発電と風力発電で100%を達成することを公式目標としした。南オーストラリア州は石炭や天然ガスの資源が...
「第7次エネルギー基本計画」の議論でも、生成AIやデータセンタによる電力需要が大きな論点になっている。自民党総裁選に出馬した河野太郎議員が「生成AIやデータセンタの電力需要増に対応して最大限供給するため、水素やアンモニア、核融合や、原発建替なども選択肢としてある」と述べたことが話題になっている。その発言の是...
「第7次エネルギー基本計画」の議論が始まっている。これを機に、そもそも「エネルギー基本計画」とは何か、概観しておく。 ■「原子力促進法案」から「エネルギー一家の掛け軸」へ 最初のきっかけは、1990年代末から専門家やNGOと連携した超党派議員連盟で盛り上がった自然エネルギー促進法議員立法運動(これは10年後に2011年...
「太陽光と風力の普及は電源全体の5割まで」という話を聞くことがある。つい最近も、再エネ普及に熱心な国会議員から聞いたばかりだ。その理由を聞くと「慣性力の制約があるからだ」ということらしい。 ◼️「慣性力の制約」という風評 「太陽光と風力の普及は電源全体の5割まで」という話を聞くことがある。つい最近も、再エネ普及に熱心な...
お腹を空かせた狐が高い所に実っているブドウに届かず「あんな酸っぱいブドウは食べない」と負け惜しみを言うイソップ物語の「酸っぱいブドウ」はよく知られている。現在、日本で電気自動車(EV)を巡って起きている現象もこの「酸っぱいブドウ」そのままだ。 ■世界のEV化:加速するトレンドと日本の遅れ 世界中でEVへの移行が加速して...
この4月から容量拠出金が始まった。電力会社によっては3円/kW時もの負担増となるが、問題の本質はそこではない。たとえば以下の記事(※1)には「小売競争がゆがむなら」と仮定形で書かれているが、仮定どころか、競争のゆがみは容量市場の最初から織り込まれているのだ。旧一般電気事業者の負担は事実上ゼロであるのに対して、新電力だけ...
世界中で絶賛され、アカデミー賞で7冠を受賞したクリストファー・ノーラン監督「オッペンハイマー」が、ようやく日本で公開された。現代物理学の揺籃期の中で「天才物理学者」と呼ばれたロバート・J・オッペンハイマーは、その後、「原爆の父」として米国の英雄として栄光の頂点に立ったが、その後、マッカーシズムという異常な政治的な嵐の中...
2023年12月にドバイ(アラブ首長国連邦)で開催された第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、2030年までに再エネ設備容量を三倍増する議長国提案が日本を含む110カ国の署名で採択された。これは困難だが、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)や国際エネルギー機関(IEA)も可能とするシナリオを公表して...
2022年度からの環境省・脱炭素先行地域事業の執行率が低い(※1理由について、前項に引き続き考察する。前項では、(1)ファイナンスに関するミスマッチと、(2)推進力としての地域エネルギーハブ(事業体)が脱炭素先行地域事業の多くで欠落していること、その歴史と背景、必要性・重要性について述べた。また後者については「地域新電...
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