オフィスビルの賃料はここ6年程回復基調にあるとはいえ、その上昇カーブは2006年~2007年のいわゆるファンドバブル期に比べれば緩やかなカーブになっています。なぜ賃料がそれほど上がらずに推移してしまってるのでしょうか。
賃料=コスト負担の原資という観点で言えば、注目する業績は利益ではなく売り上げとなります。つまり企業の売上高がファンドバブル期の水準に届いておらず、高い賃貸負担力を持つ企業がそれほど多く存在しないということが挙げられます。
もう1つの指摘として挙げられるのが、将来のオフィスビル大量建設を見越したオーナー側の慎重な姿勢にあります。日経BP社が発行する「日経不動産マーケット情報」の調査によると、東京都23区内で2018年から3年間、170万㎡/年のオフィス床が毎年建設されていく見通しです。これほどの建設量は空室率が9%を超えた2012年に匹敵する勢いです。